為替取引のスタイル


 ここでは、為替の投資スタイルについて考えてみます。どのようなスパンで取引をするのかという視点に立って取引を見てみます。

 一般的に、FXの取引スタイルは4つに分かれます。スキャルピングデイトレードスイングトレード、最後にスワップ金利目的の中長期取引があります。


デイトレード


 トレードに無関心な方々でも耳にしたことがあるのが、デイトレードという言葉だと思います。これは、言葉の意味そのままで、DAY=日毎の TRADE=取引ということになります。つまり、その日の建玉はその日の内に決済するというもので、一日のスパンでの為替値の上下を考えながら取引するものです。
 翌日に建玉を持ちこさないので、メリットとしては、例えば寝ている間に値が大きく動いて大きな損益を被るというようなことを防げます。
 一日スパンの取引になりますので、米ドル円の取引でしたら、概ね20銭から1円までの差額を狙うものとなります。値動きによって、一日数回の決済を行いますが、細かな動きに合わせて売買を繰り返すというようなことは基本的にはしません。人にもよりますが、チャートとしては概ね30分足、時間足、日足、週足を見ながら売買を考えます。


スキャルピング


 デイトレードに対し、一般的には聞きなれない言葉として、スキャルピングという言葉があります。これは一日の内に何度も細かな取引を繰り返すものです。わずか数銭(人にもよりますが、3銭から10銭くらい)の値動きで利益を確定させ、それを細かく積み重ねていくことで、総合的に一日に1円分くらいの値動き利益を狙うものです。

 チャートとしては、だいたい1分足から1時間足までを見ますが、メインとしては15分足あたりで取引をするのが一般的です。

 お仕事をされている方でしたら、仕事から帰宅して、このスキャルピング的な取引を行い、寝る前には全て建玉を決済するというような、デイトレとスキャルピングを合わせたようなスタイルの方も大勢おられると思います。


スイングトレード


 これはデイトレードよりももう少し大きなスパン、概ね数日から数週間くらいのうねりを考えトレードするものです。当然のことながら、チャートとしては分足などはほとんど相手にしません。スイングでしたら、だいたい日足から週足、または月足くらいまでのチャートの動きを見ながら取引を行います。
 メリットとしては、細かな経済指標にあたふたせずに大きく構えていられることです。そのため、レートチェックを行う回数なども少なくて済みます。デメリットとしては、当然のことながら、大きな資金力を要するということです。つまり1円動いても、あるいは2円動いても強制決済されないだけの資金力がなければ、この取引は行えません。そのようなことから、大きく賭けて瞬間的に大きく儲けるというようなことはできません。しかしながら、メンタル的にはそこそこ安定して為替の値動きを楽しむことができるかもしれません。


スワップ狙いの中長期取引


 これは、あまりFX取引というイメージからは少し離れた取引方法です。よく高金利設定の国の銀行に預けておけば、年間でいくらの金利が貰える云々というのを聞きますが、このスワップ金利を狙ったFX中長期取引も、それと似たイメージの取引です。ただし、大きな違いは口座の預金額を失う可能性があるということです。
 FX取引の場合、各通貨間には通貨ごとの金利差がありますので、日本円よりも高い金利の通貨を買うと、その買った通貨を売るまでの間、毎日その金利差(スワップポイント)を獲得できます。例えば、高金利の通貨オーストラリアドルを買うと、FX業者にもよりますが、1万通貨につき80円/日らいのスワップ金利を獲ることができます。もし10万通貨買ったら1日800円貰えますので、年間で800円×365日=29万2千円のスワップポイントが貰えます。

 こう考えると、何だかとてもお得感がありますが、忘れてならないのは、ずっと買った時の為替レートが維持される保障はないということです。上がり続けた場合、それは大いに喜ばしいことです1が、逆に1円下がった場合、上記の例で言うと10万円の損失、2円下がった場合20万円の損失となります。こうなってくると、年間の29万円なんて、すごくちっぽけな額であることがおわかりになると思います。仮にレートが数十円下がったとしてもロスカットにあわないくらいの証拠金の余裕がなければ、このような取引はできません。よって、このスワップ金利狙い取引とは、世間一般にある「お金持ちの方の資金運用」の中のひとつで、他よりは若干リスクを含んだ取引スタイルだと言えるでしょう。もしくは、ある程度のお金で年間数万円を稼ぐ、一般FX取引よりはリスクの少ない、且つ利益の少ない運用ということになります。

 ただし高金利通貨で、日をまたいで取引するのであれば、「買いで入る」と少しばかり得をするというのは覚えておいて損はありません。もちろん、上がるか下がるかを予想するのが先の話ですが。


 
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